実数論2〜0、加法の公理〜【専門数学シリーズ】

今回は、実数論パート2ということで、「0」、「加法」の公理を解説していきます。

ちなみに、
加法とは、いわゆる足し算です。

過去の実数論はこちらを参考にしてください。

実数論1実数の公理〜R、集合、実数について〜【専門数学シリーズ】

※実数論の構築には、集合論の知識が多少使われておりますが、その都度、集合論も解説していきます。

目次

0、加法の公理

公理2

0∈\(\mathbb{R}\)である

これは何を意味するかというと、Rの元に初めて「0」という実数を定めたということです。

なんだか、人類の誕生みたいな神秘さがありますよね〜笑

ちなみに、今までの公理はどれも実数は定めていないことに注意です。
実数の概念は定めましたが、実数の中身には触れていませんでした。

公理2でその中身を具体的に定めた、ということです。

では次は皆さんお馴染みの足し算を定めます。

公理3

+は\(\mathbb{R}\times\mathbb{R}\rightarrow\mathbb{R}\)への写像である

これはつまり、足し算というのは、\(\mathbb{R}\times\mathbb{R}\rightarrow\mathbb{R}\)への写像ですよということです。

ここで初めて登場した「写像」についての定義を解説していきます。

写像の定義

X,Yを空でない2つの集合とする。(※空でないとは、X,Yには必ず元が存在するということ。)
Xの任意の元に対して、その元に対応するあるYの元がただ1つ与えられているとする。

この時、「f:X→Y」と表し、fをXからYへの写像という。

つまりは、写像とは2つの集合の関係性を表す規則みたいなものです。
写像に関しては、今はこれぐらいの認識でOKです。(また別記事で詳しく解説します)

そして、なぜ今回の足し算に、この写像が必要なのかというと、足し算とは、2つの数を1つの答えに統合する行為だからです。

「2つの数」という集合と、「1つの答え」という集合の関係性を「+」で表したものを「加法」、すなわち足し算なのですね。

わかりやすい例は、2+3=5。
「2」と「3」の2数に「+」の操作を実施した結果が1つの数「5」です。

次に\(\mathbb{R}\times\mathbb{R}\)。これは直積(直積)といいます。

簡単に言えば、シンプルに2つの数を選んで並べるだけ、という感じです。

そして、2つの数を並べたものを、順序対(じゅんじょつい)といいます。

実数\(\mathbb{R}\)から元を選ぶわけですが、\(\mathbb{R}\times\mathbb{R}\)と表示することで、実数\(\mathbb{R}\)から選んだ数字を2つ並べるということを意味します。

例えば、2と3なら(2,3)。5と9なら(5,9)みたいな感じです。

直積、順序対の認識はこれぐらいでOKです。

つまり、順序対により選んだ2つの数(順序対の集合)を「+」という行為によって、1つの数(集合)になる。

この2つの集合の関係性が+:加法と呼ばれる特別な写像なのです。

加法の表記ルール

ここで少し加法に関する表記ルールをご紹介します。

そもそも写像とは、3つの集合をそれぞれX,Y,Zとし、写像をfとした場合、(a,b)∈X×Yに対して、f((a,b))∈Zという表記をするルールがあるんですね。

加法に関しても同様に、(a,b)∈\(\mathbb{R}\times\mathbb{R}\)に対して、+((a,b))∈\(\mathbb{R}\)となります。

この+((a,b))を略した表記としてa+bと表します。

まとめ

今回は、0という実数の元、加法について解説しました。
少しずつ算数の土台が構築されてきていますね。

これからも少しずつ土台を構築していきます。

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