古代哲学者の中に1人、セコイ奴がおる!!

お前やーーーー!!
ということで、どうもマルタです。
「この世界は何でできているのか?」という問いは、古代から現代に至るまで科学者が追い求め続けてきたテーマです。
今回は、世界の根源を探る「万物の起源(アルケー)」の歴史をご紹介します。
特にギリシャでは、「万物の起源(アルケー)」を探って、世界がどの成り立っているのか?を探っていました。
そんな哲学者の提唱する理論を辿っていくと、当時の知識人たちが世界をどう捉えていたのか?
その思考の痕跡のようなものがみえて面白いですよ^^
今回ご紹介する人物たちは以下のとおりです。
- タレス
- ピタゴラス
- アナクシマンドロス
- アナクシメネス
- ヘラクレイトス
- エンペドクレス
- デモクリトス
ちなみに、この中にちょっとセコイやつも含まれております笑
万物を提唱した7人の哲学者
ではさっそく、万物の起源を探った、トップバッターはこの方!!
タレス「万物は水である」

タレスは(紀元前624年頃 – 紀元前546年頃)はギリシャのミレトス学派と呼ばれる哲学者で、哲学・数学の始祖と呼ばれる人物です。
ですので、「万物は何であるか?」を探る風習はタレスから始まったといっても言えます。
そんな記念すべき第一声は「万物は水である」でした。
つまり、すべての物質や生物は水でできているという理論です。
「えぇ?」と思うかもしれません笑
ですが、土や草、樹木などは全て水がいろんな形となって生み出していると考えたのです。
イメージとしてはこんな感じです。

海があって、太陽の光によって蒸発。
それが雲となり、雨となって大地に水の恵みをもたらし。その結果、人間や動物、植物が誕生したと考えていたのですね。
最後、タレスは水分が不足して生涯を閉じたとされており、その間際に「やはり万物は水でできていたか」と思って寿命を迎えてとも言われております。

ということで、初の哲学者・数学者タレスの理論は、万物は水であるでした。
「すべては水」というのは、若干無理があると感じつつも、一発目の万物シリーズにしては、核心に近い気がしますね。
では次の方!
ピタゴラス「万物は数である」

ピタゴラス(紀元前570年頃 – 紀元前495年頃)はタレスの影響を受けて、哲学・数学の道を歩みました。
そんなピタゴラスもタレスと同様に、万物を唱えるのですがその内容は「万物は数である」ということでした。
さすが!三平方の定理を証明しただけあって、数学者の鏡!
しかし、万物は数というのはなかなか無理ある理論な気がしますねぇ…。
なぜピタゴラスは万物は数と考えたのか?
それは彼が「数が宇宙を支配する」と考えていたからです。
ピタゴラスは数学を研究する中で、三平方の定理の証明、他にも音楽や天文学など、身の回りの自然現象が数的法則で成り立っていることを確信しました。
特にピタゴラスは整数比(分数で表される数字)を重要視しており、身の回りの物質の縦横の長さなどもすべて整数比で表されると信じていました。
そういった経緯から、「すべては数によって支配され、形作られているのでは?」という思いから、万物は数であると提唱したのでした。
ちなみにピタゴラスは数字に非常に強いこだわりを持っていたとされ、数秘術を研究したり、数字を偶数・奇数と分類したとされております。

現代では、あらゆるテクノロジーが発展していますが、それら基盤には確かに数学が欠かせません。
そう考えると、万物は数である、というのも絶対的に否定はできないかもしれませんね。
次の方…
アナクシマンドロス「万物は無限なるものである」

アナクシマンドロス(紀元前610年頃 – 紀元前546年頃)はタレスと同じ、ミレトス学派の哲学者です。
彼は万物を何と考えたのでしょうか?
「万物は無限なるものである」
…ここで無限と持ち出すのは、反則というか、なんならもう思考やめちゃってません?笑と感じるのは僕だけでしょうか?
無限かぁ…、なんて便利な言葉なんだ。なんでも無限と言えちゃうじゃないか…!
とはいえ、決して的外れではありません。
厳密に言えば、「アペイロン」と呼ばれ、無限、無限定、境界のないものを意味しています。
つまりこの世界とは永遠で無限、そして定義されないものとして理解され、宇宙のあらゆるものがそこから生まれ、そしてそこへ帰っていくと考えたのですね。
何というか、世界が何でできているか?を具体的にするのではなく、抽象的に考えた、というのは新しい思想だったのかもしれませんね。
ざっくり言えば、万物の根源は、特定の要素ではない無限定・無辺のアペイロンであり、そこから熱と冷などの相反する性質が永遠の運動によって分離して、天体・自然現象・生命が生じる。
生まれたものは時の秩序に従って消滅し、再びアペイロンへ還る。
ゆえに永遠で無限なのは世界そのものではなくアペイロンであり、個々の世界は生まれては滅びるのだ、と。
言うのが、アナクシマンドロスの主張です。
なんか、RPGの最後のラスボスが語りそうなセリフのようにも聞こえなくもない…。
つまりは「世界が何でできているか?」というよりは、「世界、あるいは宇宙そのものの性質」を抽象的に考えた、という意味では新しい発想だったのかもしれませんね。
とはいえ、定義されないものとして、って「無限」も言葉にしている以上は、定義なのでは?
という、
極めて何か世界に対するパラドックスを感じます。
次の方〜
アナクシメネス「万物は空気である」

アナクシメネス(紀元前585年頃 – 紀元前525年頃)はアナクシマンドロスの弟子で、ミレトス学派の哲学者でした。
彼が提唱した理論は「万物は空気(アエール)である」とのこと。
師匠アナクシマンドロスの「万物は無限である」から、かなり具体的になりましたね〜。(ほっ)
確かに、空気ないと生きていけないですからね〜。
この発想も面白くて、
死んだ者は息をしない。生きている者だけが息をするという視点で、「息は生命そのもの」と考えたというわけです。
また空気は薄くなれば暑くなり、最も薄くなると火になる。逆に濃くなるにつれて冷たくなって水となり、さらに濃くなると風や土、水、石になるという理論を打ち立てました。
ゆえに、万物は空気(アエール)!!
ちょっと無理があるかもしれん…。
空気が薄くなると火になるとか、マジでわからん。
とはいえ、タレスの水の理論に似ていますね。
タレスの主張した状況によって、水の状態が変化し、万物をつくりだすという理論のように、
アナクシメネスは世界の物質は空気の濃さ薄さで構成されていると考えたのですね。
では、次の方どうぞ!
ヘラクレイトス「万物は火みたいなものだ」

みたいなってなんだよ!?笑
これはヘラクレイトス(紀元前535年頃 – 紀元前475年頃)という、ギリシャの哲学者が提唱した理論です。
まぁ厳密にいえば、「万物は流転する」という理論で、その流転を火に例えたって感じです。
具体的はどういうことか?というと「世界は常に変化していくものである」という発想です。
万物は刻一刻と変わっていく、すなわち流れる、流転するという考えです。
万物はすべて、変化の中にあり、たとえば「同じ川に二度と入ることはできない」と主張したという伝記があります。
そんな常に変化する状態と感じ取ったヘラクレイトスは、「それはまるで、火みたいなもの」だというわけです。
個人的には、水に例えるほうがまだわかりやすい気が…苦笑
とはいえ、ここで火を持ち出したのは、深い理由があります。
まず、ヘラクレイトスはすごくて、「ロゴス」という概念を生み出しました。
この「ロゴス」は、世界の法則を意味しているのです。
ヘラクレイトスは、万物は流転する、変化すると言いましたが、その変化は無秩序ではなく、ちゃんとした一定の法則があるよ、って言ったんですね。
その一定の法則がロゴスなのです。
つまり、ヘラクレイトスは、ロゴスという法則に則って、万物は変化し続け、その変化のさまは、まさに火のようなものなのだ!
と言ったのです。
え?「火を持ち出したのは、理由になってない?」
いいじゃないか!!
それがヘラクレイトスの個性なんだから!!
でもすごいんですよ。
結局ヘラクレイトスが主張したロゴスの考え方は、それ以降の哲学においてのメインキーワードとなるのですからね。
いやー、しかし、万物は変化していて、その変化の法則は一定であると言うておりますけども、
でもよくよく考えれば、その変化の法則も、万物の一部ですから、変化の法則すらも変化したら、変化の法則は一定じゃなくなる…
おっと、誰か来たようだ。
エンペドクレス
おお…。君か、エンペドクレス。
エンペドクレス(紀元前490年頃 – 紀元前430年頃)は、ギリシャで活躍した哲学者です。
君の主張は一体?
エンペドクレス「万物は火・水・土・空気である」
お前やーー!!
哲学者の中で1人、セコイ奴がおる!お前やーー!!

ということで、ここに来て最大のダークホース現れましたよ笑
万物は火・水・土・空気である??
ほぼパクリやんけ!!
火はヘラクレイトス、水はタレス、空気はアナクシメネス。
唯一、「土」はエンペドクレスが初ですかね。
今までの哲学者の理論をうまくまとめやがったな…というのが印象です笑

とはいえ、セコそうに思えるエンペドクレスですが、彼の理論もとても面白いです。
まずエンペドクレスが提唱した、「万物は火・水・土・空気である」というのは、今までとは違った切り口があります。
それまでの哲学者は、
- タレス:水
- ピタゴラス:数
- アナクシマンドロス:無限
- アナクシメネス:空気
- ヘラクレイトス:火
みたいな感じで、単一の原理から成り立つと考えていました。
しかし、エンペドクレスの、万物は複数から成り立つと考えた点は、革新的です。
まぁ一つに絞るのは難しいですし。
さらに、彼の面白い発想は、それら万物は混ざったり分離したりする、ということです。
つまり、水・空気・火・土の根源が、混ざることであらゆるものが形作られていると主張したのですね。
ちなみに、愛(フィリア)によって混ざり、憎しみ(ネイコス)によって分離が起こるとしました。
「急に恋愛やん!」
って話ですが、ここでの愛や憎しみは、我々の感覚とは違った文脈なので、それは注意です。
ということで、これまでの哲学者をパクった、セコイやつと思わせておいて、ちゃんと考えてた哲学者でした。
ごめんね、エンペドクレス!!
デモクリトス「万物は原子である」
何やら自信ありげな表情を浮かべるデモクリトス。
彼は紀元前460年頃 〜紀元前370年頃に活躍したギリシャの哲学者です。
というか、今更だけど、今回紹介している哲学者は全員ギリシャの哲学者です。
デモクリトスは、自信を持ってこう言いました。
「万物は原子(アトム・分割不可能な微粒子)である」

かなり正解!!
えー、未来から来た人物ですか?と思うほどに、最先端な思想の持ち主です。
現代では、分子や原子、さらには素粒子で物質の根源が成り立っていることがわかっています。
なので、厳密にいえば、完璧に正解したというわけじゃないですが、かなり核心に近いアイデアです。
というか、現在の粒子理論の原型と言えるでしょう。
これはエグい。
ちなみに、先ほど紹介したアナクシマンドロスは、万物の根源を「アペイロン(無限)」という抽象で捉え、そこからあらゆるものが分化して生まれたと考えました。
一方で、デモクリトスは具体的な物質(原子)の積み重ねから世界の成り立ちを考えようとしました。
こう考えると、とても真逆の視点な印象を受けるのは面白いですね。
まとめ
ということで、今回は「万物は何であるか?」を提唱した古代哲学者たちをご紹介しました。
どれも非常に面白いですし、時代によって着眼点が違うのもまた見どころですね。
「万物」というものを、大昔は目に見える物質的なアプローチで考えていましたが、徐々に目には見えない抽象概念を取り入れ始めたりしていました。
しかし、本質的には「この世界を知りたい」という根源的な好奇心からくるものなのでしょうね。
なんだかロマンを感じますよね〜。
ちなみに、最近は世界は「関係」でできているという理論もあります。
あなたは万物は何でできていると思いますか?
ぜひ考えてみてください。
最後までよんでくださり、ありがとうございました!
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