どうも丸田です。
突然ですが、もしこの世界が5つの図形でできていると言われたら、あなたは信じることができますか?
おそらく「はぁ?」と感じるでしょう。
しかし、はるか2000年以上前の紀元前には、哲学者プラトンは、この世界が5つの立体でできているという説を唱えました。
それが「プラトン立体」という考えです。
そのプラトン立体とは何か?
結論から述べますと、この宇宙は「正四面体」「正六面体」「正八面体」「正十二面体」「正二十面体」の5つの立体で構築されており、さらにはこれが「火」「土」「空気」「エーテル」「水」と関係しているという宇宙思想です。
当時のプラトンは、完全なる真理を追求するための哲学を研究していました。
そんな中、ピタゴラスが見出した幾何学に関する知識に触れることで、プラトンも幾何学へ関心を持つことに。
「数や幾何学的図形の中には、宇宙の真理を表す意味が隠されている」と考えました。
その結果、特に美しい性質を持つ立体を「プラトン立体」としたのですね。
別名「宇宙立体」とも呼ばれています。
ではなぜこのような説をプラトンは唱えたのでしょうか?詳しく解説していきます。
プラトン立体5つの図形
プラトン立体は5つあります。
- 正四面体(テトラヘドロン)
- 正六面体(キューブ)
- 正八面体(オクタへドロン)
- 正十二面体(ドデカへドロン)
- 正二十面体(イコサへドロン)
正式には「正多面体」と呼ばれるのですが、これら立体図形の特徴として以下の2つがあります。
- どの辺の長さも等しく、全ての面が形も大きさも等しい
- どの頂点においても面が同じ数集まっていること
超ざっっっっくりいえば、超美しい法則を持った図形ということです(専門家から怒られそうw)
さらには、この2つの性質を持った立体図形は、この5つしかないというのです。
「この美しさが宇宙や神が宿るのでは?」とプラトンは考えたのですね。
立体図形について簡単に解説していきます。
正四面体(テトラヘドロン)
正四面体(テトラへドロン)と呼ばれる図形は、正三角形4つで構成されている立体図形です。
ピラミッドに似た形となっています。
正六面体(キューブ)
正六面体(キューブ)は正四角形6つで構成されている立体図形です。
正八面体(オクタへドロン)
正八面体(オクタへドロン)は、正三角形8つで構成された立体図形です。
ダイヤモンドみたいな形ですね。
正十二面体(ドデカへドロン)
正十二面体(ドデカへドロン)は、正五角形12個で作成された立体図形です。
ポケモンのゴローニャの岩みたいな形です(←違う)
正二十面体(イコサへドロン)
正二十面体は、正三角形20個で構成された立体図形です。
形がサッカーボールに似ていますよね。
ちなみに、サッカーボールは「切頂二十面体」と言われる形をしております。
「切頂二十面体」とは、「半正多面体(semi-regular polyhedron)」と呼ばれる立体の一種で、正二十面体の各頂点を切り落とした立体なのです。
超ザックリ言ってしまえば、正二十面体をベースにサッカーボールはできたってことですね。
宇宙を構成する四元素
ここまで5つのプラトン立体をご紹介しました。
この5つの立体は宇宙の成り立ちに関係しているとプラトンは考えていました。
当時は宇宙の構成する元素は「火」、「空気」「水」「土」の4つであると提唱されていました。
そこでプラトンは以下のように考えたのです。
正四面体は「火」を構成する要素、
正六面体は「土」を構成する要素、
正八面体は「空気」を構成する要素、
正二十面体は「水」を構成する要素と、それぞれ関連付けました。
このように考えることで、幾何学は宇宙を形作っているのだと提唱しました。
【補足】なぜ宇宙を構成するのは、「火」、「空気」「水」「土」なのか?
なぜ宇宙を構成する要素が「火」、「空気」、「水」、「土」なのかということですが、これは当時「四元素説」という思想が主流だったからだと考えられます。
大昔の人々は「万物は何でできているか?」を考えていました。
最古の哲学者タレスは「万物は水である」と提唱し、
アナクシメネスは「万物は空気である」、クセノパネスは「万物は土である」、ヘラクレイトスは「万物は火である」と続き、最終的に哲学者エンペドクレスは万物は「火」「土」「空気」「水」で成り立っていると言い放ったのです。
これが多くの哲学者に影響を与え、「四元素説」が定着していきました。
プラトンはこの思想を引き継いだと考えられています。
宇宙に満ちているエーテル
「あれ?正十二面体は?」と思うかもしれません。
実は正十二面体は5つのプラトン立体の中でも特別とされており、宇宙を構成する神秘の物質「エーテル」だと考えられました。
正十二面体が特別な理由は、正十二面体だけは一辺が正五角形で構成されているからです。
古代ギリシャでは、正五角形は美しいとされていました。
ちなみに、数学者ピタゴラスが開設した宗教団体のエンブレムは五角形です。
正十二面体をエーテルに関連付けたのは、プラトンの弟子「アリストテレス」でした。
だからこそ、五角形は特別扱いされており、その五角形から成る正十二面体はさらに神秘だと。
その結果、正十二面体は宇宙の神秘元素エーテルを構成すると考えられたわけですね。
エーテルとは何か?
エーテルは非常に抽象的な概念で、語源の意味は「常に輝き続けるもの」だそうです。
三平方の定理で有名なピタゴラス教団の人々は、人が死んだ後に魂がたどりつく永遠の汚れのない領域だと考えていました。
イメージ、天国や神のようなイメージでしょうか。
つまりは、何かわからないが宇宙や天界を満たしている神秘の物質が存在し、その元がエーテルだと考えられていたわけですね。
エーテルは別名プラーナとも言われたり、スピリチュアル的な要素でもあります。
プラトン立体についてのまとめ
今回はプラトンが提唱した「プラトン立体」について解説しました。
プラトン立体は5つあり、正四面体は「火」、正六面体は「土」、正八面体は「空気」、正十二面体は「エーテル」、そして正二十面体は「水」を関連付けられました。
このようにプラトンは幾何学は宇宙を構成しているという理論を唱えたのでした。
この説が正しいのかどうかはわかりませんが、古より似たような思想は数あります。
例えば、古代中国では「五行思想」がありますが、これは万物は「木・火・土・金・水」で成り立っているという思想です。
またインドでも「五大要素」と呼ばれる、「万物は空・風・火・水・地で成り立っている」という思想もあります。
古代の人々が考えた説は、実は真実に近いものなのかもしれませんね。
プラトンについての記事はこちらで解説しているので、ぜひご参考ください。
哲学者プラトンとは?功績やアカデメイアについて