どうも、マルタです。
突然ですが、「三平方の定理」を覚えていますか?
中学・高校で学ぶ数学定理の中で最も有名ではないかと思います。
この定理を証明した人物こそがピタゴラスなのです。
三平方の定理が注目されすぎて、証明したピタゴラス本人はあまり注目されていない印象がありますので、
ザッと人物像を紹介すると、、、
ピタゴラスがこの定理を発見したとき、「これは決して自分1人の力ではない。いつも自分を守ってくれるミューズの神様のおかげだ!」と感謝したそうです。
おぉ〜めっちゃ謙虚〜!!
そしてピタゴラスは、気持ちを表すため、雄牛100頭を捧げて神様にお礼を申し上げたそうです。
オイ〜!牛の神に怒られそうな話だなw
ちなみに、ミューズとは芸術の女神であり、9姉妹の1人だそうです。
またピタゴラスの性格はクールで、自分の感情をあまり表に出さなかったそうです。
まぁ何考えているのかわからないが、とりあえず頭がブッ飛んでいることはお分かりいただけたことと思います笑
ですが、やはりピタゴラスは超天才。
数多くの数学的な発展や業績も残しています。
今回は、ピタゴラスの生い立ちと発見した定理について解説していきます。
ピタゴラスの生い立ち
やはり天才は少年時代から天才。
ピタゴラスは幼い頃から、溢れんばかりの才能を発揮していました。
少年期から人並み外れた才能を発揮!
舞台は紀元前580年頃。
ピタゴラスはエーゲ海が見える美しい海に囲まれた島「サモス島」に生まれます。
ギリシャ神話のゼウスの正妻の女神「ヘラ」が生まれた島としても有名です。
少年ピタゴラスの印象的なエピソードをご紹介します。
少年ピタゴラスは薪を背負って街を歩いていると、1人の紳士から声をかけられます。
面倒だろうが、いま君の背負っている薪をといて、もう一度荷造りをし直してみせてくれないか?
なんでも、その紳士はピタゴラスの薪の組み方が美しいと感じたそうです。
ピタゴラスは薪をといて、もう一度組み直したそうです。
その薪の組み方がとても上手だったことに感銘を受けた紳士は、「学問をして見る気はないか?」とピタゴラスを学問の道へ勧誘したそうです。
つまりは、スカウトです。
この勧誘をピタゴラスは受けます。
この出来事がピタゴラスを数学者へ導く転機となったのでした。
タレスの弟子になり、数学者を志す
勧誘を受けたピタゴラスはタレスに弟子入りします。
ちなみに、タレスは数学の始祖・哲学の父と呼ばれる伝説の人物です。
※タレスについての詳細はこちらの記事にて紹介しております。
≫数学の始祖・哲学の父と呼ばれる偉人タレスについて
そんなレジェンドの元に弟子入りしたピタゴラスは、熱心に数学と天文学を学びました。
タレスはピタゴラスの才能に驚きました。
このままサモス島にい続けるのはもったいない!
もっと世界を見るべきだ
そう感じたタレスは、ピタゴラスをエジプトへ向かうよう指示しました。
おそらく、タレスはエジプトに縁があったため、ピタゴラスにもエジプトへ向かうよう指示したと思われます。
ピタゴラスはタレスの計らいで、故郷サモス島を出てエジプトへ向かったのでした。
さらには本格的に学問を追求しようと、エジプトのお坊さんの元へ向かいます。
当時は、学問といえばお寺で行うという価値観があったようです。
しかし、お坊さんはピタゴラスは受け入れませんでした。
お坊さんは異国の地から訪れたピタゴラスを警戒していたのですね。
それでもピタゴラスは根気強くお願いし続けました。
その結果、お坊さんは入門条件を提示したのです。
この問題解けたら入門を許可しよう。
ちなみに、この問題は超絶難問だったそうです。
お坊さんは「これは絶対解けない。きっと諦めてくれるだろう」と思っていました。
ですが、この読みが見事ハズレます。
ピタゴラスはお坊さんのテストに見事合格し、エジプトにてより学問を深く追求するのでした。
その後、更なる知識を学ぶため、20数年に渡りエジプトだけでなく、フェニキアやオリエントなどいろんな地域を旅したそうです。
そしてピタゴラスはイタリアへ移ります。
宗教団体の設立、そして絶頂へ
イタリアの南部の町クロトンに移住したピタゴラスは宗教団体「ピタゴラス教団」を創設します。
一般的な宗教といえば、信仰対象は「神」です。
しかし、ピタゴラス教団の信仰対象はなんと「数」。
非常に変わった宗教団体でした。
その教団では、生徒を集めてピタゴラスが学んできた数学・自然科学・哲学などを教えたり、みんなで力を合わせて数学の研究を行ったりしていたそうです。
三平方の定理の証明が成功したのも、この時期です。
また数学だけではなく、数秘術、幾何学、音楽と数学の関係性など、多岐にわたる分野でも法則を発見しました。
そんなピタゴラス教団にはいくつか規則がありました。
例えば、
- 食事は節制すること
- 無益に殺生してはいけない
- 太陽を冒涜してはいけない
- 豆を食べてはいけない
中には、変な規則もありますが…笑
特に代表的なのは、「われわれは一致団結して研究し、その結果はぜったいに外へもらしてはならない」。
まぁつまりは、研究結果は他人に話すなという超秘密主義団体です。
秘密結社かよw
ちなみに、教団メンバーはこのようなエンブレムを身につけていました。
「数字を崇拝!?ふーん、変わった宗教もあったもんだ」と、サラッと流されそうな小さな教団だったのですが、
その後、とんでもない発展をしていきます。
さまざまな研究成果を見つけ、自然科学をドンドン進歩させ、社会的信用を確立していきました。
そして最終的には、国の政治にまで影響を及ぼすほどのパワーを手に入れたのでした。
こうして、「ピタゴラス万歳〜!」というほどの大きな力をピタゴラスは手に入れたのでした。
訪れる暗黒期
栄枯盛衰。
一世を風靡したピタゴラス教団にも暗雲立ち込める事件が起こりました。
それは「無理数」の発見です。
無理数とは、√(ルート)などの割り切れない数字です。
ピタゴラス教団の数への崇拝にはルールがありました。
簡単に言えば「整数のみが数字」という考えです。
具体的には、1,2,3,4,5,…といった数字といった数字。
(※当時は0やマイナスの概念は存在しません)
分数であれば1/2(=0.5)、1/3(=0.333333…)など、キレイに割り切れるか、小数点以降に規則的に数字が続くのであれば素晴らしい、と考えていました。
そんな中、ピタゴラス教団の中でも優秀とされたヒッパソスは、なんと割り切れない無理数を発見してしまったのです。
しかも、ピタゴラス達が証明した「三平方の定理」によって無理数が導かれたという、なんとも皮肉が効いた出来事でした。
無理数を見つけたヒッパソスは、この事実をピタゴラスに打ち明けました。
やべぇっす。整数で表せない数字を見つけてしまいました。。。。
はい、◯刑!
この流れからヒッパソスは処刑されて命を落としたのでした。
おい!やりすぎだろ!
とクレームの電話1本でも入れたくなる気持ちはわかります。
ですが、ピタゴラス教団の信じる真理は「世界は整数が全て」です。
それ以外の数字の発見は、信仰の根幹を揺るがす大事件なのです。
天動説から地動説になったレベルの衝撃だったと想像されます。
神が認めし整数以外の数字を口にするなど、「神への冒涜、侮辱。
だからこそ、「死を持って償え」という結末に至ったのです。
この時代から、ピタゴラス教団は徐々にダークサイドに落ちていってしまいます。
ピタゴラスは無理数を隠蔽しようとしたのですね。
ピタゴラス団体の破滅、そして没
実は、この頃からピタゴラス教団が政治へ口出しすることに街の人々は不満を募らせていました。
ピタゴラス達、最近調子乗ってねぇか?
あの人たち何〜?
だめよ!あの人たちに近づいちゃダメ!
このように嫌われていたピタゴラス教団でしたが、無理数の隠蔽事件によって破滅への引き金を引いてしまったのでした。
ヒッパソスは処刑されてしまいましたが、彼は生前、なんと無理数の存在を外部に漏らしてしまっていました。
研究結果を外部に漏らさないという教団ルールを破っちゃってますねぇ…
隠蔽しようとしたが、失敗したピタゴラスたちに、街の住人は暴動を起こしました。
ピタゴラス教団の施設は打ち壊され、生徒たちは悲惨な最後を遂げることとなります。
ピタゴラスは逃げ出しましたが、ついには追っ手に追いつかれ。
メタポンティオンという場所にて、追手によって最後を遂げたのでした。
そんな栄光と挫折の道を辿ったピタゴラスでした。
これからは、ピタゴラスの数学における業績をカンタンにご紹介します。
ピタゴラスの業績
ピタゴラスの大きな業績は以下の通りです。
- 三平方の定理を証明する
- 音の原理を数学的アプローチで研究する
- 万物を数であると主張する
1.三平方の定理について
三平方の定理はおそらく数学の中でも一番知名度が高いと思います。
具体的なこのような定理です。
実は「三平方の定理」は、はるか昔から存在してはいたんですよね。
ですが、「定理がなぜ成り立つのか?」を解明したのがピタゴラスが初めてでした。
それゆえ、三平方の定理は別名「ピタゴラスの定理」とも呼ばれます。
厳密さにこだわる姿勢は師匠のタレス譲りかもしれません。
2.音の原理を数学的アプローチで研究する
ピタゴラスは人類で初めて、音の美しさやハーモニーを研究した人物としても知られています。
現在の音は「ド・ド#・レ・レ#・ミ・ファ・ファ#・ソ・ソ#・ラ・ラ#・シ」の12種類から成り立ちますが、この12種類を発見したのがピタゴラスなのです。
弦を張り詰めて、弦の長さを変えたりすることで、音階を見つけました。
ちなみに、この音楽の性質の中には、三平方の定理に近い性質が含まれるのだとか。良ければ調べてみてください。
3.万物は数なり、と主張した
ピタゴラスは「万物は数なり」と主張しました。
つまり、全ての根源は数字というわけですね。
ちなみに、万物の根源を追求しようとする思想は、哲学者タレスから引き継いだものと思われます。
ピタゴラスは数字に意味を見出そうとした結果、以下のような数秘術を編み出しました。
- 1:あらゆる数字を生成する数字
- 2:最初の偶数(偶数を女性数、奇数を男性数と考えた)
- 3:最初の奇数として調和を表す
- 4:最初の平方数、正義または応報のシンボルとされた
- 5:5=2+3と女性数と男性数を合わせた数字なので、結婚を表すとされた
- 6は創造の数
- 7:尊い数字。7つの惑星を表す
- 10:とても神聖な数字。世の中の次元数(1,2,3,4)の和(テトラクテュスと言われる)
ピタゴラスは哲学についても学んでいたので、数学と哲学を結びつけようとしていたのですね。
ピタゴラスが未来へ託したもの
教団は破壊され、悲惨な最後を迎えたピタゴラスとその弟子たち。
彼らが築き上げた教会数学論理は跡形もなく崩れ去ってしまいました。
では彼がこれまで築き上げてきたモノはムダだったのか?
いいえ、そんなことはありません。
ピタゴラス派が残した数学は、次世代の数学者に引き継がれました。
舞台はギリシャの都市アテナイ。
ピタゴラス教団の業績をまとめた書物に関心を持ったのは、哲学者プラトンでした。
プラトンといえば、「ソクラテスの弁明」で有名ですが、実は数学にも精通しておりました。
プラトンは別名「数学者を育てる者」とも呼ばれていたのですね。
彼の学園アカデメイアは、その時代を代表する屈指の数学者4人を排出します。
プラトン、彼の弟子達はピタゴラスの研究結果を基盤に、さまざまな幾何学の発見。
こうして、ピタゴラスのイズムを引き継いだ数学者が、また次の数学の未来を切り開いていくのでした。
【参考】
プラトンについて詳しく解説した記事はこちらになります。
哲学者プラトンとは?功績やアカデメイアについて
まとめ
今回は偉大な数学者ピタゴラスをご紹介しました。
数学を学び、宗教団体を設立、その後、定理の発見、政治への影響、弾圧される。
このような、波乱万丈を人生を送ったピタゴラスは、まさに数学人生を全うした偉大な人物と呼ぶに相応しいと思います。
ピタゴラスに興味を感じたならば、ぜひもっと深く調べてみるのも面白いかもしれませんね。
【おまけ】ピタゴラスの信条を示した「黄金詩篇」
ピタゴラスは信条を詩の形で示しました。
まず不滅の神に対して汝の勤めを果たすべし
親御と近親者を敬い
特において第一の者を友となし
彼の話に注意深く耳を傾けるべし
ささいな欠点で友を力に任せて捨てるな
怒り、怠惰、贅沢は避けよ
邪悪なものを慎め
しかし己を最も恐るべし
肝に命じよ、人は皆死ぬべく定められている
富はそれを得た時と同じように速やかに失われる
苦しみは、神のおぼし召しによってもたらされるので、喜んで受けよ
だが、一切の気苦労を除くように努め
正しい者がいつも最高の利益を得るとは限らないことを思え
人の甘い言葉に惑わされるな
荒々しい脅迫に恐れをなして正しい覚悟を捨てるな
もし何かしようとするなら、まずよく考えよ
後で悔やむようなことをしてはならぬ
まず自分に向いている事を学ぶようにせよ
運動と食事に節制を心がけ
平静な落ち着きの中に己を保つべし
虚栄心がもたらす浪費を戒め浅ましくなってもいけない
何事も中庸が最善である
例の日記(自省の日記)を3回繰り返すまでは
夜、目を閉じて休んではならない
どんな過ちを犯したか、何をしたか、何をしていないか
このように初めから終わりまで総括を行い
悪行のためには悲しみ、善行を喜べ
恐れることはない、人はもともと天上の種族である
神聖な自然により何を抱擁すべきかを教えられ、
それを追求すれば、魂を肉体の汚れから守ることになる
控えよ。理性を用いて心のたづなを引け
そうすれば天上へと昇り、肉体からは自由になる
そなたは死を免れた聖人であり、もはや滅びることはない
厳しい戒律の中にも、現代にも活かせそうな部分もありそうですね。