どうも丸田です。
最近、社会人向けの数学学び直しブームがきているようですね。
Amazonの書籍などでもけっこう見かけます。
ちなみに以前、数学を学ぶ意味について書きました。
一部引用しますと…
数学を学ぶこと自体に意味はありません。
これが結論です。
・・・ってちょちょーい!と思うかもしれませんが笑
『数学を学ぶ意味とは?実生活にどう役に立つのか?ということについて』の記事より一部抜粋。
正直これが全てかなぁと思います。
ぶっちゃけ「あまり意味はない」と述べておりますが、よく考えたら役立つ部分もやっぱりあるなぁと。
なので前言撤回させてくださいw
一般的に数学で論理的思考力が身に付くと言われますが、具体的にどんな思考力が身につくのか?
今回は社会人向けの数学の学び直しのメリットなどを、僕自身の経験をベースに解説していきます。
一意見ではありますが、ぜひ参考にしていただけると幸いです( ^ω^ )
数学の学び直しで身に付く5つの思考力
数学で身に付く論理的思考力は主に5つ。
- 定義する力
- 仮説を立てる力
- 抽象化する力
- 具体化する力
- 試行錯誤する力
1.定義する力
数学の世界では「定義」がとーっても大事です。
例えば、「関数」の定義は「Xの値が決まると、Yの値がただ1つに決まる関係」です。
Y=2Xという関数の場合、X=1ならばY=2、X=5ならばY=10と、Xの値が決まると、Yの値もただ1つ定まる。
しかし逆を言えば、Xの値が決まった時、Yの値が2つ以上決まったならば、それはもはや関数ではないということでもあります。
Y^2=Xという関数の場合、X=4ならばY=±2、X=16ならばY=±4と、Xの値が決まると、Yの値が2つ定まる。
※Y^2はYの2乗を意味する。
関数以外にもすべての数学用語には、このような厳密な定義があるのです。
学生時代は計算がメインでしたが、社会人で数学を学び直すならば、ぜひとも数学の用語や言葉の定義を1つ1つチェックしてみると良いです。
この言葉の定義を確認することは、数学の学び直し効果も高まるだけでなく、実社会の特にコミュニケーションにおいても非常に役立つのではないかと思っています。
普段我々は言葉を使ったコミュニケーションを取りますよね。
しかし、コミュニケーションがズレたり、伝えたいことが伝わらずに問題になることもしばしば。
これは要するに、言葉の認識のズレが生じていると言えると思うのです。
だからこそ、この会話や言葉のズレは言葉の定義、もっと平たく言えばお互いの共通認識を合わせることによって無くすことができるのではないでしょうか。
もちろん数学と違って日常会話すべての言葉を定義するのはほぼ不可能ですし、いちいち「その言葉の定義は?」なんて聞きまくれば嫌われるので推奨しません。
それに言葉の定義も人それぞれ違いますからね…。
しかし、特に重要な言葉はなるべく定義しておいた方が、曖昧なやり取りやズレたコミュニケーションの頻度は減るのではないでしょうか。
僕自身も、ミーティングや打ち合わせで話が平行線を辿っていると感じたら、言葉の共通認識として定義を考えたりします。
これによって、結構コミュニケーションのズレがなくなったかなと感じます。
また漠然としたテーマなども言葉の定義の力は重要です。
そういった意味では、言葉を定義する力は数学を通して身につくのではないでしょうか。
2.仮説思考力
数学は仮説思考力がかなり鍛えられます。
個人的には、この仮説思考は非常に重要だと考えています。
なぜなら、すべての論理的あるいは科学的主張は何かしらの仮説があって、はじめて成り立つからです。
数学では、認める事実を「公理」といいますが、この何かしらの前提を踏まえて数学理論は組み立てられています。
中学・高校の数学問題なども、「AならばB」という主張になっているんですね。
この言葉の表現は問題集や人によって異なりますが、ポイントはAの条件を認めるならば、Bという主張が成り立つ、という論理構造です。
裏をかえせば、Aが成り立たないならばBも成り立つとは限らないわけです。
もっと言えば、前提のAが変わればどれだけ正しいとされてきた結論Bも変わると言えるのです。
歴史上でもっともわかりやすいのは、天動説から地動説へ変わったことでしょうか。
これにより宇宙観はゴッソリ変わりましたし、日食や月食の理論もガラリと変わったわけですからね。
そして、この仮説思考を持っておくと、すべての主張の根本を探る視点を持つことができます。
例えばビジネスシーンでは数字やグラフ、データを用いたプレゼンがあったとします。
ここで大切なのは、その主張の良し悪しを判断することだけでなく、どういう条件のもとで、そのデータや主張が成り立っているかです。
例えば、アンケート結果で○が70%、×が30%みたいな結果が出たとしても、そもそもそのアンケート回答者が10人しかいなければ、アンケートとしての信憑性は低くなります。(まぁ当たり前ですが…)
1000人にアンケートを取ったら、実は◯が20%で×が80%となるかもしれませんよね。
特に数字やデータ、グラフは根本をしっかり見ないと惑わされてしまうこともあり得るでしょう。
あるいは、「営業はとにかく売ることがすべて!だからガンガン売れ!」という営業マンと「お客様に押し売りしたくない!」という営業マンの意見も分かり合えることはないと思います笑
これは別に決してどちらかが良いとか悪いとはいう話ではなく、そもそも前提や仮説が違うだけです。
前者は、会社の利益が正義、そして売ることが正義という仮説・前提があるから「ガンガン売れ!」と主張しているのです。
逆を言えば、もし会社が不正していたみたいな話を聞いて、会社の利益が正義ではないし、売っている商品自体も粗悪品だと気づいたら、ガンガン売れとは言えなくなるでしょう。
一方後者は、お客様には慎重にいろんな商品を選ぶべき、ということが正義だという仮説・前提があるから「押し売りしたくない!」と主張しているのです・
しかし、もし自分が扱う商品が一番優れていると気づいたり、あるいは他社の商品は粗悪品ばかりだと気づいたりと、仮説・前提が変われば「うちの商品素晴らしいんで!」とゴリ押しできるようになるでしょう。
上記はあくまで一例に過ぎませんが、すべての主張は何かの仮説・前提があるということです。
そういった意味では、数学は「AならばB」という仮説から主張のベースで論理立てられています。
中学・高校数学の問題集にチャレンジしてみるのであれば、ぜひ問題をじっくり読んでどこが仮説で何を主張したいのか?
という視点をプラスするだけでもだいぶ数学の学び直しの精度が深くできるのではないかと思っています。
3.具体→抽象の力
具体的な事柄を抽象的にする力を身につけると、問題解決能力が高まります。
これは数学でいう定理がまさに、具体を抽象化した良い例でしょう。
具体から抽象する力が身につけば、例えば、日々起こるさまざまなことを整理して頭をスッキリさせたり、仕事で起こっているエラーの数々の根本原因を探り対処したり、自分の言葉を適切に言語化したりできます。
補足ですが、言語化は日々の体験をまるっと言葉にするという意味では具体を抽象化する力だと考えています。
また誰かにアドバイスするといった場合は、仮に10個の悩みや問題を抱えていたとして、根本に潜む本質的な1つの解決策を探り当てるなんてのも具体から抽象化する力でしょうか。
言い換えれば、「つまりはこういうことか!」と要約する力です。
数学で言えば、「数学的帰納法」というものです。
数学の問題もいろいろ取り組んでみると、共通点が見えてきたりします。
二次関数の考え方が指数・対数、あるいはベクトルの分野に登場したり。
数学においては、いろんな共通点を探る視点で学び直すと面白いかもしれませんね。
4.抽象→具体の力
抽象から具体を導くことで、何事も細かく具体的にできます。
例えば、抽象から具体が落とし込める人っていうのは、1聞いたら、10できる人です。
あるいはとても壮大なプロジェクトを逆算してステップを明確にするのも、この抽象から具体へ変換する力といえます。
数学においては、一見複雑な定理や問題も、小さな数字からいろいろ試すことでパターンが見えてくることがあります。
高校数学であれば、複雑な数列をn=1,n=2…と試してみることで法則が見えてくる。
そしてそれが正しいことを数学的帰納法で証明するみたいな問題があったりします。
ちなみに、任天堂Wiiを大ヒットさせた時の企画会議では、いろんな雑談やゲームとは関係ないような細々としたことを話し合って、最終的にコンセプトが決まり大ヒットしたという経緯があるそうです。
そう考えると、「大ヒット商品を作ってください」みたいな壮大なプロジェクトの成功は、具体化する力にかかっていると言えるのかもしれませんね。
数学の問題も、一見わかりづらい問題を見つけたら、具体的にしてみる、小さな数字で試してみるなどやってみると楽しいですよ。
5.試行錯誤の力
そして最後は、試行錯誤の力です。
論理的思考と聞くとスマートさが想像されますが、そのためにもやはり試行錯誤は重要です。
今や情報社会というのもあり、調べれば一発で情報にアクセスできます。
また生成AIの力で瞬時に最適解を導けることもあるでしょう。
だからこそ、試行錯誤の力に価値が生まれると感じています。
少年ジャンプの主人公も、泥臭くあがきながら目標を達成するからこそ、ドラマがあり感動できます。
それと同じで、数学もあれやこれや〜と試行錯誤して、一進一退しながら問題解決を目指すからこそ、学びが深くなっていくというものです。
ちなみに、数学で一番試行錯誤できる問題は、中学の図形の問題です。
垂線や補助線をどこに引くか?どことどこの図形が合同か?相似か?みたいないろいろ試しながら解答に近づいていく感覚は楽しいし、思考のトレーニングになりますよ〜。
集中力も身につきますからね。
ぜひ試行錯誤する力を身につけたいなら、中学校の図形の問題あたりを取り組んでみることをオススメします。
まとめ〜数学で面白く考え、生きる力を!〜
今回は、数学の学び直しで身に付く力を解説しました。
いろいろと数学を学び直すメリットでのつらつらと並べてきたんですけれども、究極的には何事も面白く考え生きる力を身につける1つのツールとして考えると良いんじゃないかなと思います。
数学の学び直しにはいろんな思いがあると思いますが、考え方や視点が増えれば面白くなりますからね。
僕も過去にですね。ぎっくり腰になったときに何を思ったか、福岡タワーの体積を求めるって言うことをやってみたわけなんですよ。
正直、こんなことをやって実写会がどうなるかっていうのはわからないし、何かの役に立つと到底思えないわけなんですけれども
僕は非常に充実した日々を送れました。笑
ただ1つ実感したというか、確信を持ったことがあって
それは自分が立てた問いに、自分なりのロジックで解決するのは、めちゃくちゃ楽しいということなんですね
イメージするの探偵になったみたいな感覚です。
いろんな証拠をかき集めて謎を解くみたいな感覚がありますね。
それと同じで、何か日常的な問いが立ったときに、その問いに対して、自分なりに色々と定義とか、抽象化・具体化・試行錯誤を通して納得のいく答えが出てきたら、内側から来る充足感があるんですね。
でも、もちろんこれは僕だから、そう感じだって言う側面もあるかもしれないですが、梱包の人ってやっぱり謎解きって好きだと言う1面もあると思うんですよ。
事実、江戸時代の人々ってめっちゃ数学が好きというか、数学が全国に普及していたって言う1代目分ムーブメントがあった。でもするわけなんで
個人的にはみんな1億総人口。皆ミステリー謎解きは好きだと思ってます。
その謎解きをするためのめちゃくちゃ良いツールが数学だって言うふうに感じてもらえるとおそらく数学の学び直しってとても楽しくなるし、役立つかどうかと言うような枠から外れた自由な発想が持てるんじゃないかなと思います。
ぜひ充実した数学生活を!