どうも、マルタです。
数学の定理でもけっこう有名な「フェルマーの最終定理」。
「フェルマーの最終定理」は実に360年以上の歳月を経て解決されたのですが、数学者たちが織りなす熱きドラマに感動せざるを得ない!
きっと、「俺も数学やりてぇ!」
とムクムクと数学への情熱が呼び覚まされるのではないでしょうか。
そんなドラマがぎっしり凝縮された書籍「フェルマーの最終定理」を今回ご紹介します。
サイモン・シン著者の書籍。
内容は「フェルマーの最終定理」という、悪魔的難易度を誇る数学の問題を数々の天才数学者が解決するまでのお話です。
もちろんノンフィクション。
ヤラセなし。(←何の?w)
「数式が使われた説明はよく分からない…」という方でも、ご安心を。
確かに表紙はいかにも専門的な数学チックで格式高い雰囲気があります。。。
しかし!
中身は数学を通じて、人間の血と涙と汗の泥臭いストーリー!
少年ジャンプにも引けをとらないほどの熱さを感じます。
専門用語はほぼ使われていないので、専門知識のないド素人でもわかりやすく解説されているのでめちゃくちゃイイ( ・∀・)!!
数学が好き、科学に関する見識を広めたい、教養を深めたい、感動したい、熱くなりたいという方に、ぜひオススメしたい1冊です。
【30秒で丸わかり!】フェルマーの最終定理の要約
「フェルマーの最終定理」の内容は、1600年代に活躍した天才数学者「フェルマー」が残した定理を、数々の数学者が証明するまでの奮闘を描いたドキュメンタリーです。
最終的には「アンドリュー・ワイルズ」という数学者が証明に成功します。
ですが、それまでに色々な数学者が問題解決に立ち向かっては倒れ、その証明に成功するまで実に360年以上もかかったという話なんですね。
ですので、アンドリュー・ワイルズたった1人で解決したのではありません。
たくさんの数学者が残した理論を組み立て、積み重ねていき、最終的に証明されたというわけです。
どうでしょう!胸アツではありませんか?
ワンピースで例えるなら、「カイドウVSルフィ・キッド・ロー」みたいな感じでしょうか。
イメージとしては、強大な敵に仲間達と立ち向かうみたいな感じです。
たかが数学、されど数学。
「どうしてそこまでしてまで数学をやるかって?そこに数学があるからさ・・・」
と言わんばかりの数学者のロマンを感じます。
ということで、ここからはストーリーをより深く解説して行きます。
たった一人の天才が残したメモから始まった壮絶な戦い
今から400年以上前、一人の天才数学者フェルマーという人物がいました。
フェルマーは自らいくつもの数学の定理を発見しては、それらをノートの端っこにメモしていました。
その定理はどれも画期的だったのですが、なんとこのフェルマー、本業は数学者ではありません。
法律家でした。
法律家として活動する傍ら、趣味として数学を嗜み、その数学が超絶天才的だったのです。
マジ半端ない。。。
しかし、この天才かなり悪質でして(笑)
フェルマーは、発見した定理の証明を残さなかったそうです。
数学において証明はそれはもうとてもとても重要でして。
ザックリいうなら、なぜそれが言えるのか?という根拠です。
特に数学は論理の学問なので、証明がないと認められません。
イメージするなら、あなたが占い師から「あなたは5年後に大病になるでしょう。え?理由?それは教えません。対策も教えません」と言われてるようなもの。
はい、ヘタすりゃ詐欺師同然ですw
ですから、フェルマーそもそもこれらの定理が何の根拠をもとに導き出されたものなのか?がまったく不明だったわけです。
とは言えまぁ、フェルマーは本業が数学者じゃないし、、って感じでそのように思いついた定理を証明もせずにメモに書いていたのでした。
フェルマーの死後、定理が書き記されたノートが発見され、当時の数学者がその定理を次々と証明していきました。
一般的には「証明ないじゃんかよ、最悪だよ〜」となるところですが、きっと数学者は「証明ない!やったー!証明するべき問いが増えたヒャッハー!!」と喜んだんじゃないかな〜と、勝手に思っております笑。
多くの数学者が知恵を出し合って、フェルマーの定理が1つずつ解決されていきます。
さすが数学者…!このまま全ての問題が解決になるか…!?
しかし、そんな中たった1つの定理だけがどうしても証明できない・・・
「な、なんだこれは!ピクリともしないぞ!」
そう、それこそが「フェルマーの最終定理」と言われる、解決に360年以上もかかった最強の問題だったのです。
ちなみに、「最終定理」の最終は、最後まで残ったから「最終」と名付けられたそうです。
そんな悪魔級の超難問を残したフェルマーのメモには、こう書かれていたそうです。
「この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、それを書くにはこの余白は狭すぎる」
※このセリフは、フェルマーの有名な言葉として知られています。
「テヘペロ(^_-)-☆」みたいな、ふざけたメモをきっかけに、アンドリュー・ワイルズ含め、世の数学者達の戦いの火蓋が切って落とされたのでした。
フェルマーの最終定理とは?
天才フェルマーが残した「フェルマーの最終定理」は以下のとおりです。
nが3以上の全ての自然数において
xn+yn=zn
を満たす解は存在しない。
※自然数とは1,2,3,4・・・と我々が普段使う一般的な数字と解釈してOKです。(0やマイナス、分数、小数点は含めない)
これが世の天才たちを300年以上苦しめた問題です。
「ん?そんな難しいの?」
一見すると非常にシンプルかつすぐに解けそうな感じしませんか?
おそらく、
「こんな定理の証明に300年以上も!?」
「もし俺のIQが160ぐらいなら、なんかできそうなんだけど・・・」
「意味不明な数式を想像してたけど、なんか簡単そう・・・」
などと思うかもしれません。
しかし、この問題を証明するために次々と天才数学者たちは立ち向かっては倒れていったのです。
最初に言っておきますが、「どうしてこんな事を証明するの?」というヤボな疑問は抜きですよ?(笑)
「見ろ!世の天才数学者たちがまるでゴミのようだ!」
おそらくフェルマーはそう思っていたのでしょう(←勝手な想像w
なぜ、証明に300年以上もかかったのか?理由3つ考察
なぜ解決に時間がかかったのか?
本書では直接的な説明はありませんが、読んだ中で感じた理由を3つ解説します。
1.そもそも「存在しない」という事を証明することが難しい
存在しないを証明することは、数学において難しい証明の1つです。
なぜなら、例外なく存在してはいけないからです。
逆に「存在することを証明せよ」なら、たった1つでも成立する何かあれば良いのですから比較的楽になります。
存在しないということは、例外なしに100%存在しないことを証明する必要があるので、証明の難易度がハネ上がるのですね。
2.全ての自然数(1,2以外)において証明できなければならない
1.2を除く自然数において定理が成り立つことを証明しなければなりません。
ちなみに、自然数と聞くとなんだか穏やか〜な印象ありますが、そんなことはありません笑
無限に続く数字です。(0、マイナス、分数、少数を除く)
ですので、例えば「n=145756876578358」という複雑かつ莫大に大きな数でも、ちゃんと定理が成り立つかどうかを明確にしなければならないのです。
「例外は認めない!」ということで、、、。
数学のシビアなところですね〜。
3.数式からは想像もつかない別分野の知識が必要だった
これは後ほど解説しますが、フェルマーの最終定理を証明するためには、数式からは思いもよらない分野の知識、定理が必要でした。
この事実に気づけたのは定理を証明したアンドリューワイルズのみであり、他の数学者は着目できなかったのですね。
難問の条件が揃っていたが故に、天才でさえも証明に300年以上かかったのです。
数学者が積み上げてきた功績とそのドラマ
この300年間、天才数学者たちは実に様々なアプローチで新定理を発見していきます。
具体的にどのように証明を積み上げていったのか。そのドラマをご紹介します。
ドラマ1:過去の偉人が残した業績を駆使する
フェルマーの最終定理の中でも、一番のポイントは、過去の世代の偉人が残した定理を次の世代の数学者が使うという、世代を渡ってバトンを繋いでいくストーリーです。
- n = 3の場合を証明したオイラー
- n = 4の場合を証明したフェルマー
- n = 5の場合を証明したソフィ・ジェルマン
- n = 7と14 の場合を証明したラメ
といったように数学者たちは地道に証明を進めていったのでした。
ドラマ2:証明できないかもしれない疑惑
順調に証明が進んでいたのですが、
途中で
「そもそもこのフェルマーの最終定理自体間違ってんじゃね?」という疑いも生じます。
もしかしたらフェルマーの残した最後の定理はデマだったのかもしれない。
長年証明できなければ、そう思いたくもなってきますよね。
そんな中、数学者たちに悲報が知らされます。
論理学のレオナルドダヴィンチと呼ばれるほどの天才「クルト・ゲーデル」は、「現在の数学体系では証明できない問題が存在する」ことを証明してしまったのです。
「な、なにぃ〜〜〜〜!!?」
よく考えてみてください。
今まで何年にも渡って証明を試みてきた数学の問題に、答えがない、あるいは証明自体ができない可能性があると言われた場合、「今までの取り組みは一体なんだったんだよォ!?」と絶望しかけますよね。
証明できるかもしれないし、できないかもしれない。
つまりは1/2のギャンブル!
厳然かつ緻密な論理の世界に、ギャンブルなんてあったもんじゃない!
とまぁ、そんな戦々恐々としたエピソードがあります。
もしフェルマーが「証明できた!」という言葉そのものが嘘だったら、ゾッとしますね…。
しかし、のちに嬉しいお知らせがあり、「フェルマーの最終定理は証明できる」と証明されました。
こうして、引き続き世の数学者たちは、フェルマーの最終定理の証明を再び目指し始めるのでした。
ドラマ3:実は日本人が活躍!!「谷村=志村予想」
多くの数学者がフェルマーの最終定理の証明に苦戦していました。
アンドリューワイルズもその一人。
そんな中、アンドリューワイルズは一つのひらめきを得ました。
そこで彼が手に取った資料が、なんと日本人数学者である谷村さんと志村さんが編み出した「谷村=志村予想」というものでした。
谷村=志村予想とは
すべての有理数体上に定義された楕円曲線はモジュラーである
…うん。まぁ、正直全く意味不明です(笑)
しかし、当時は画期的な発見だったそうです。
日本人あっぱれ(*´ω`*)!!
このアンドリューワイルズが注目した内容が斬新でして、「谷村=志村予想」は楕円について研究された内容なのですね。
つまり、フェルマーの最終定理には楕円の性質を活用すれば良いのでは?と気付きます。
楕円へのアプローチは今までの天才数学者すらも見落としていた斬新なアイデアだったのです。
ちなみに、フェルマーは楕円についても研究していました。
なので、フェルマーの定理解決の鍵はやはり「楕円」だったのでしょう。
ドラマ4:最後の難関!!「谷村=志村予想」最大の欠点
「谷村=志村予想」を使えば、フェルマーの最終定理は解決できる!
アンドリューワイルズはフェルマーの最終定理に王手をかけました。
しかし、、、、残念ながら一つだけ!一つだけ「谷村=志村予想」に大きな欠点がありました。
それは「予想」ということです。
数学における「定理」という言葉は、あくまで「厳密かつ例外もない」と完全証明された時にしか使われません。
「谷村=志村予想」というのは谷村さんと志村さんが「きっとこうなるだろう」という正解予想に過ぎず、完璧に証明された定理ではありませんでした。
確かに「谷村=志村予想」は当時は画期的な発見ではありました。
しかし、まだ誰も定理とまで言うことは出来なかったのですね。
つまり、フェルマーの最終定理を証明するには、「谷村=志村予想」を完璧に証明し、定理にする必要があったのです。
ドラマ5:7年の引きこもりの末、ついに証明完了!
アンドリュー・ワイルズは執念で「谷村=志村予想」を厳密に成り立つことを証明してしまったのです。
そして、ついにフェルマーの最終定理を解決することに成功します。
解決するまでに、実に7年間。
自宅に引きこもってひたすら証明活動をしていたそうです。
恐るべし・・・。
アンドリュー・ワイルズはフェルマーの最終定理の証明を、教室にいろんな著名の科学者を集め、聴衆の前で説明しました。
この証明の講演は実に、3日間かかったと言われています。
その中には、世界的にも有名な数学者の顔ぶれもあったそうです。
講演後、証明の中には、いくつか論理が破綻していた部分もあったそうですが、その部分も修正して、無事証明が完成しました。
当然、アンドリュー・ワイルズは一躍数学界の有名人になったのです。
こうして300年の時を経て、フェルマーの最終定理への挑戦は幕を閉じたのでした。
超難問に立ち向かうには、人生すべてを賭けるほどの覚悟がいる
今回はフェルマーの最終定理について解説しました。
少しだけ僕なりの考察を綴りたいと思います。
定理を証明したのは、アンドリューワイルズという人物だったのですが、なぜ彼が解決できたのか?
もちろん頭の良さ、知識量、環境などもあったかもしれません。
しかし、それ以上にとてつもない情熱があったからだと思います。
現役数学者として活動できるのは短く、一般的には28歳がピークだと言われています。
なので、数学者は28歳頃までに取り組んでいる研究の論文を出し、キャリアを完成させるそうです。
そのような歩みが一般的な数学の世界ですので、逆に一生かかっても解決できる見通しがない難問に取り組むということは、
ヘタするとキャリアを棒に振るう可能性があることを意味するのです。(むしろそうなる可能性は高い)
しかも、フェルマーの最終定理に関しては、
過去あらゆる天才が挑んできたが解決に至らなかった。
なので、解決するまで何年経つかわからない、もしかしたら一生解決できないかもしれない。
そんな問題に挑むことは人生を捨てるのも同然。
「これを解けば俺も歴史的偉人になれる!」みたいな見栄を張ったような、半端な覚悟では難問に挑むべきではないわけです。
アンドリューワイルズは10代の頃から、フェルマーの最終定理に出会い、こう言いました。
「僕はこの定理を証明するために生まれてきたんだ」と。
そして、若い頃からフェルマーの最終定理の証明に取り組んでいました。
当然、周囲は「やめておけ!」と忠告したそうですが、そんな周りの声に惑わされず、覚悟を決めて難問に挑み続けました。
途中に挫折や苦難にぶつかりながらも、最後まで諦めない執念でアンドリュー・ワイルズはフェルマーの定理を解決できたのだと思います。
キャリアを捨ててもよい、自分がやりたいことをやる、それを貫く。
そのような情熱のパワーが、何かを成し遂げる上で大切なエッセンスということを、この本は教えてくれます。
そして最後に、ワイルズが新聞記者に「その定理は何かの役に立つのか」と問われたときにこう答えたと言われています。
この定理は、はるか将来にも何の役にも立たないだろう。だがそれでいい。
私の数学が応用の奴隷に成り下がるなど、私には耐えられないことだ
地位や名誉、賞賛ではなく、自分の中の確固たる信念に突き動かされる数学者の姿はこうも美しいのかと感じた一言でした。
まとめ
専門的な話をここまでわかりやすく、なおかつ当時の苦悩が手に取るように理解できる本はなかなかないと思います。
ビジネス書や自己啓発書以外の分野の本を読んで知識を広げたいという方にはまず勧めたい1冊です。