天文学者の寿命を2倍にしたとされる驚くべき対数物語と発明した貴族の天才数学者ジョン・ネイピア

対数物語

どうも、丸田です。

あなたは対数Logを覚えていますか?

「あぁ〜どこかで聞いたことはあるけど、詳細は遥か彼方です」。

「過去苦しめられたので、思い出の中でじっとしていてほしい」。

そんな声が聞こえてきます。

この対数Logってなんなん?という話ですが、実はこの理論は当時の数学に大きな影響を与えました。

天才数学者ラプラスは「対数は天文学者の寿命を2倍にした」と絶賛したほどです。

この対数の理論を生み出したのは、ジョンネイピアという人物です。

ということで、今回は対数は何が凄いのか?また対数の発明者ジョンネイピアについて、そして彼の業績をご紹介します。

目次

対数を発明した貴族の数学者ジョン・ネイピアについて

ジョンネイピア

ジョンネイピア(1550年〜1617年)。

1550年に、スコットランドの首都エディンバラ南西のマーキストン城に誕生しました。

ジョンネイピアは主に数学者、物理学者、天文学者、占星術士、錬金術などに精通。

熱心なプロテスタントでもありました。

1563年、13歳の頃セント・アンドリュース大学に入学していた経歴があるが、在籍期間が短いため、中退したと考えられています。

1566年には、遊学し1571年21歳で帰国。その後1608年以来、マーチストンの城主を勤めていました。

長年にわたって数学の研究を続けていました。

そんな、ジョンネイピアの面白奇妙な人物像に迫っていきます。

占星術や降霊術、また錬金術・魔術にも精通

ネイピアは占星術や降霊術もおこない、死者の魂を呼び出す技を深く探究していました。

昔の数学者ほど、錬金術や魂に興味持ちがちな印象です。
錬金術といえば、「鋼の錬金術師」を思い出しますね。

さらには錬金術にも興味があり、自宅で沸騰した液体の入ったフラスコを使った奇妙な実験を行っていました。

また旅行の時にはいつも小さな箱に黒いクモを入れて持ち歩いていたと言われており、また魔術の際に「親しい悪魔として」使う黒い雄鶏も飼っていたそうです。

よくいえば好奇心旺盛、悪くいえば変態ですよね。

ジョンネイピアの業績。対数Logの発明

そんなジョンネイピアでしたが、数学や物理学を大きく飛躍させる発明、対数理論を発明するのでした。

この対数の発明に関して、まずはこの時代の歴史背景などから解説していきます。

困難を極めた航海の時代

この時代のヨーロッパは航海ブームでした。

特に1400年から1500年にかけて、コロンブスやヴァスコ・ダ・ガマ、マゼランの有名な航海士が世界を巡ったことから航海の文化が盛り上がったと思われます。

また当時は、肉など食料の鮮度を保つ技術がなかったため香辛料を求めていた時代でもありました。

その結果、海を渡ろうと試みる人が多く現れたのですね。

しかし、航海は困難を極めました。

なぜなら、広大とも言える広い海ですから、途中で遭難する可能性があったからです。

その時代は、sin、cosなどを扱う三角関数を用いた天文学の技術が主流でした。

その結果から、船の航海ルートを決めるのですが、この計算結果がズレてしまえば目的地に辿り着けません。

しかもこの計算はなんと10桁以上の数字のかけ算、割り算を行わなければならなかったのです。

想像してみてください。

10桁以上の計算って絶対どこか計算ミスしたりしますよね。

このミスが航海の現場だと命取りになるのです…。

計算力=生き残る確率といっても過言ではありません。

当然Google Mapなどでお馴染みの、全方位測位システム(GPS)などありません。

計算を誤ったら海上で迷って食料が尽きるか、見知らぬ土地に漂着するかのどちらか。電卓やコンピューターもない時代、莫大な計算が乗船した天文学者に委ねられており、相当な負担であったと言われています。

きっと天文学者は超ブラック企業と言っても過言ではなかったのではないでしょうか。

対数の理論が誕生し、天文学者の負担は半分以下に!

そんな中スコットランドの貴族であったネイピアは「この現状、どうにかならんもんかね」と考えました。

そこでネイピアが発明したのが、対数なのです。

この対数こそが、航海技術を確かなものに変えたのでした。

この結果、今まで天文学者を苦しめていた計算が一気にラクに。
その成果たるや、天才数学者ラプラスは「天文学者の寿命は2倍になった」と称賛しました。

つまり、それだけ天文学者は労働から解放されたということでしょう。

ネイピアは20年近く計算理論について研究し尽くした結果、対数の理論を構築しました。

さらに計算をより簡単にするための対数表を作成しました。

その後、対数の扱い方を解説した本を出版したのでした。

※この間に、少数などの概念も生み出されました。

ネイピアは対数のために命をかけためっちゃいいやつです!

ちなみに、出版物に関しては「驚くべき対数規則の構成」を出版し、ネイピアの死後は息子ロバートネイピアが「驚くべき対数規則の構成」を出版しました。

当時、対数に関する考え方はありませんでした。

だからこそ、理論を0から1へと発展させたネイピアはまさに天才数学者、いやもしかしたら無から有を生み出すという点では錬金術師なのかもしれません。

対数の特徴について

では、一体対数は何がすごかったのでしょうか?

一言でいえば、掛け算を足し算に、割り算を引き算に変換する計算手法でした。

さらに常用対数という理論を使えば、数字の桁数がわかります。

この手法によって、どんな大きな数でも足し算というシンプルな形に変え、精度高く効率的に計算できてしまう。

まさに魔法のような方法、それが対数なのですね。

ちなみに、対数はロガリズム(logarithms)と言いますが、この頭文字3文字をとってLogと表記するのです。

ロガリズム(logarithms)という言葉は、logos(神の言葉)とギリシャ語のarithmos(数を数える)を合わせてlogarithmsという言葉を作りました。

高校生の時、ログログって連呼してましたが、実はかなり神聖な言葉だったのが驚きです笑

ネイピアは自ら発明した対数が「人の命を救うだけの力がある!」と確信していたため、自身の著書を「奇跡」と呼んでいました。

その後ネイピアは20年の歳月をかけて、三角関数の対数を8桁の精度で計算できる「対数表」を作成しました。この表によって、三角法の計算をより正確に、効率的に行うことができるようになったのです。

この対数は計算機が誕生するまでの350年間、ずっと使われる理論となったのです。

ネイピアの様々な発明

他にもネイピアは計算を簡単にするために開発した様々な理論や発明がありますので、ご紹介します。

ネイピアのロッド(ネイピアの骨)

これはかけ算や割り算を簡単にする計算表です。

計算表が杖に記載されていることから、ネイピアのロッドと名付けられています。

別名、ネイピアの骨やネイピアの棒などと呼ばれています。

ネイピア数

ネイピア数とは「e」と表現される数学定数の1つであり、e = 2.71828 18284 59045 23536 02874 71352 …
と続く超越数です。

また別の名を自然対数の底とも言われます(今回は割愛…m(_ _)m)。

これは欧米はオイラー数などと呼ばれていますが、厳密にはヤコブ・ベルヌーイが見つけたと言われております。

このネイピア数は微分積分や確率、金利などの分野で顔をひょいひょい出してくる摩訶不思議な数字です。

今回は割愛しますが、数学でもよく使われる重要な数字です。

さらに対数の精度を高め続けた偉人たち

今回の対数の発明を行ったのはネイピアだけではありません。

ネイピアの理論をさらにブラッシュアップさせ、計算のシンプルさを追及した天才数学者・物理学者たちをご紹介します。

  • ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラー
  • ヘンリー・ブリッグス
  • ビュルギ
  • ヨースト・ビュルギ

彼らはネイピアの理論を引用しながら、対数表を作成したり応用させたりして、さらに対数理論をブラッシュアップさせていきました。

ジョンネイピアと対数について まとめ

今回はジョンネイピアの業績や対数をご紹介しました。

「ログ?あーよくわからんやつかー」と感じていた概念が、実は中世においては多大なる影響を与えていたというのは、まさに驚くべき対数物語ではないでしょうか。

ちなみに、対数は現在も使われており、主に考古学の年代測定に活用されております。

それ以外にも、微分積分を応用した微分方程式にもかなり活用される理論であるので、500年以上の時を超え今なお使われる理論なのです。

【補足】参考書籍

今回の記事執筆に大いに参考にさせていただいた書籍をご紹介します。

小数と対数の発見

小数の誕生や対数に関する内容がかなり細かく記載されています。
しかもUnlimitedで0円で読めるのでコスパ最強すぎる。

大人のための数学再入門ージョン・ネイピアー対数について

対数をスッカリ忘れた人向けに、サッとと読めてサクッと復習できる良書。
しかも歴史にも触れられているので面白い!オススメです。

この記事を書いた人

目次